「耐用年数」の基本
企業が購入した資産の購入費(購入代金)を、購入した月や年だけの費用とせずに、「資産を使用する期間で費用を配分する」ために考えられた、仕組みを実現する年数です。
例えば、2000年に3000万円で購入した設備は、2000年に3000万円の費用とせずに、2000年から2010年に掛けて、毎年300万円ずつ10年間の費用とする場合の
「10年」が「耐用年数」
毎年の300万円の費用が「減価償却費」
です。
そもそも、なぜ、費用を配分するのかというと、企業の成績を表す「利益」を実際、実態の状況に合わせて計算するためです。
実際に、その資産(生産設備など)を使用して生産している実態に合わせることで、成績を評価するためです。
例えば、設備を2000年に3000万円で購入した年は費用が多く、設備を購入していない年は費用が少なくなり、結果、利益の金額が大きく異なります。
2000年は利益が少なく、それ以外の年は利益が多くなります。
これでは、
改善(経営改善・現場改善)などの経営成績を正しく評価できません。
設備(資産)を購入すると、利益が減り、成績が悪くなるため、必要な設備(資産)でも購入しなくなります。
企業の競争力が失われてしまいます。
以上の様子を、下の表で表します。
その前に、利益の計算式を念のため、記載します。
利益 = 売上 ー 費用
費用には、上の減価償却費や材料費、労務費、修繕費などが含まれます。
[ 耐用年数を使用しない場合 ]
単位:万円 | 2000年 | 2001年以降 |
---|---|---|
売上 | 1000 | 1000 |
労務費 | 500 | 500 |
購入費用 | 3000 | 0 |
利益 | ー2500 | 500 |
[ 耐用年数を使用した場合 ]
単位:万円 | 2000年 | 2001年 | 途中省略 | 2009年 | 2010年 |
---|---|---|---|---|---|
売上 | 1000 | 1000 | ・・・ | 1000 | 1000 |
労務費 | 500 | 500 | 500 | 500 | |
減価償却費 | 300 | 300 | 300 | 300 | |
利益 | 200 | 200 | ・・・ | 200 | 200 |
どちらが、実態に合った利益なのか、一目瞭然ですね。
「法定耐用年数」
「耐用年数」と言うと、多くの人は「法定耐用年数」を思い浮かべます。
「法定耐用年数」は、税法で決められた「耐用年数」で納税額を算出するために、法律で定められています。
損益計算書(P/L)に出てくる「減価償却費」は、
この「法定耐用年数」を使用して算出されています。
企業が所有するすべての固定資産を対象に、固定資産の取得価格を「法定耐用年数」で割って(除して)、算出しています。
「法定耐用年数」という、良い意味で法律で縛られた「耐用年数」があるため、各企業で統一した計算方法になり、
企業間の利益(成績)の横比較が、しやすくなります。
企業間で納税額が公平になります。
良いことです。
しかし、弊害の方が大きいと私は思います。
「経済耐用年数」
「法定耐用年数」とは、別の考え方に「経済耐用年数」があります。
「法定耐用年数」の弱点、弊害を補う考え方です。
「経済耐用年数」はその企業の「実力値」として、その設備での生産を止めるまで、廃却するまでの実際に使用している(使用するであろう)年数を言います。
とかく「法定耐用年数」より、長い年数になると思います。
設備の種類でも変わってきますが、「法定耐用年数」の2倍~2.5倍になることが多いです。
「法定耐用年数」が10年だとすると、20年~25年が「経済耐用年数」になる会社、設備もあります。
それでは、法律ではない「経済耐用年数」は「誰が、どうやって」決めるのでしょうか?
それは、「経済耐用年数」を何に使用するのか、「経済耐用年数」の目的から決めます。
本サイトでは「経済耐用年数」の使用を強くお勧めします。
「経済耐用年数」を使用した「儲かる原価計算」でないと、本当の利益、実態に合った実力値の利益が見えません。
これは、経営の根幹に関わる大変、重要な事です。
本サイトには「経済耐用年数」を使用した、多くのツールがあります。
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