改善の優先順位としては、まず「人の作業」について、改善できないか、検討します。
現状把握の概要
「あの作業が大変、この仕事が面倒」では、単なる愚痴になってしまいますので、ちゃんと、現状を「数字」で把握します。
「だれが」、「何を」、「どれだけ」行っているのか把握するため、現状調査します。
近年、生産工程はNCや電子電気制御に代表されるように自働化が進み、人が設備に付いて加工することが少なくなってきました。実際の加工は設備が自動で行っています。
それでは、作業者が何をしているのか、というと、
- 段替え
- 加工前の部品の運搬や供給
- 加工完の部品の検査や運搬
- 設備停止(チョコ停)の対応
など、ではないでしょうか。
これらの作業を作業者毎に記録して、「NHK」の観点で改善できないかを検討します。(テレビ局で覚えましょう)
- N・・・作業を無くす
- H・・・作業を減らす
- K・・・作業方法を変える
現状把握の方法
それでは、どうやって現状を把握するのか、ですが
- 「観測板」と「ストップウオッチ」を持って、作業者の後を付いて回り、
- 段替え:20分、部品運搬:15分、検査:3分、段替え:30分 ... と作業内容を記録して、
- 一日の最後に、作業毎に集計してグラフ(下図)にします。
このグラフを「作業山積みグラフ」と言います。
この現状把握を「現場観察」と言います。
この方法は、ある意味、原始的ですが、一番正確で、トヨタの現場でも実践されています。
但し、この「現場観察」は、現場で観察する専任の人「改善マン」が必要になります。トヨタでは「生産調査室」という部署があり、専任の担当者がいます。
中小企業では、このような専任の人員を置くほど余裕はありません。
自分達で調査、改善するしかありません。
現状把握の具体的な方法
作業者の作業範囲内に記入台を設置し、
- 作業調査記録用紙
- 時計
- 鉛筆、消しゴム
を置いて、作業を記録します。
そして、一日の最後にEXCELで
- 作業毎に掛かった時間を集計
- 作業山積グラフを作成
します。
現状把握のツール
前項の「作業の記録」~「グラフ作成」までを簡単に行うツールとして、開発したのが、
「Sagyo」は無料です。
「Sagyo」を使用すると、簡単に記録、自動でグラフ表示が可能になります。
「Sagyo」の概要
- 作業者が作業した都度、スマホを使って記録できるアプリです。
- 作業毎に、たった2回のタップ(クリック)で、作業を記録できます。
- 記録した内容から「作業山積みグラフ」を自動で作成、表示します。
- パソコンでもグラフを自動表示できます。
記録した作業データをパソコンに保管し、分析できます。
「Sagyo」の画面(スクリーンショット)と詳しい説明は、こちらのページ
[ 下図はパソコンでの表示例 ]
次は
「儲かる改善」の「現状把握」でした。
現状を把握したら、次回は「儲かる現場改善」の「NHK」です。