儲かるための改善、次のテーマは「経費」です。
経費にも色々ありますが「変動費の経費」を対象に改善します。
変動経費
変動費とは「生産量に応じて、増減する費用」です。
例えば、電力費、ガス費、消耗工具費、補助材料費などです。
売上、生産数が変動=増える(減る)と、それに応じて増える(減る)費用です。
余談ですが、
代表的な変動費に「材料費」がありますが、今回は「経費」が対象です。
(材料費の管理は、別で記載します)
反対に「固定費」があります。代表的なものに「減価償却費」があります。売上、生産数が増減しても、減価償却費は変動せず、一定です。
それでは「変動経費の改善」は、どうすればいいのか。
「経費 = 購入単価 × 購入数」です。
今回は、この「購入数」である、現場での「使用数」「使用量」の改善です。
(購入単価は日々、大きく変わりませんので)
簡単に言うと、ムダに使用していないかを監視し、ムダがあれば要因を調査し、改善します。
題して「変動経費の原単位管理」です。
「変動経費の原単位管理」の進め方
1.変動経費の対象品目(例えば、刃具の型番:101)を決めます。
2.刃具101の使用数を半年間、記録します。
3.刃具101を使用して加工する製品の生産数を半年間、記録します。
4.「使用数の合計」を「生産数の合計」で割ると、1個あたりの使用数が分かります。
この1個あたりの使用数を「原単位」と言います。
5.7か月目以降は、「刃具101」の目標数量を設定し、実績使用量との差から、改善を行います。
[例]刃具101の記録(2カ月分の場合)
実績月 | 良品生産数 (個) |
刃具101の 使用数(本) |
---|---|---|
4月 | 100,000 | 1000 |
5月 | 150,000 | 1600 |
: | : | : |
合計 | 250,000 | 2600 |
1個あたりの使用数(原単位)は
2600 ÷ 250000 = 0.01
です。
経費の目標設定
この1個あたりの使用数が、翌月以降の刃具101の「目標使用係数」になります。
この「目標使用係数」を使用して、目標数を決め、実績との差から悪化(良化)の要因を調査し、改善(横展開)を行います。
[例]「刃具101」の目標・実績管理
管理 対象 |
良品生産数 (個) |
刃具101の 使用数(本) |
刃具101の 目標使用数(本) |
目標と 実績の差 |
---|---|---|---|---|
10月 | 120,000 | 1300 | 1200 | +100 |
11月 | 130,000 | 1280 | 1300 | -20 |
「刃具101」の10月の目標使用数は、
目標使用数 = 良品生産数 × 目標使用係数
1200 = 120000 × 0.01
のように算出します。
経費の改善
上表の実績より、10月は目標1300本より、100本も多く使用していますので、その要因を調査し、対策を進めます。
反対に11月は、-20本の実績なので、改善されたと想定し、その改善策を同じようなライン、工程に横展開します。
上の例では、「刃具101」のみを対象にしていましたが、これを他の品目(変動経費)にも展します。
トヨタ自動車では、軍手1個から管理していると言います。本当か嘘か分かりませんが、それだけ徹底した管理をしている、ということだと思います。
この「変動経費の原単位管理」は、数字で捉える目標管理なので、改善した事、やった事が数字で表れます。すると、
●作業者の改善意欲が向上し、会社の改善活動が活性化します。
●製品の品質、設備故障の予防保全にも繋がります。
●経費の予算管理にも使用できます。
ツールのご案内
私共には、上記の内容を実務で実践するツールがあります。
「変動費」予算管理ツール TARGET + DashBoard