「利益」とは?
「利益」は、会社の「経営の状態、状況を表す数字」と思っていますよね。
会社が「儲かった」「儲からない」「赤字」「黒字」と言う場合に、それを数字で表したのが「利益」でしょうか。
もう少し、具体的に、この数字の「利益」とは、損益計算書の「営業利益」や「経常利益」のことですね。
会社によっては、経営概況表などとして損益計算書をベースに、社員向けに「売上、費用、利益、利益率」で簡単に表現しているものもありますね。
間違った利益
今年は「1000万円の利益」、「100万円の赤字」と言っている「利益」が、実は、違っていたとしたら、どうしますか?
「儲かっている」と思っていたのに、「儲かっていない」。
反対に「儲かっていない」と思っていたら、「儲かっていた」。
多くの会社、ほとんどの会社で、この「間違った利益」を基に経営しています。
この「間違った利益」を基に、投資を行い、目標を決めて「みんなでがんばろう」と努力しています。
目標が違えば「努力が水の泡」どころか、「損失になっている」場合もあります。
これは大問題です。
その正体
「間違った利益」の正体は「法定耐用年数」や「即時償却」です。
利益 = 売上 ー 費用 ですね。
例えば、20万円 = 120万円 ー 100万円
費用の中に「減価償却費」があります。しかも、費用の中では、大きな金額で高い割合(構成比)を占めています。
減価償却費 = 固定資産の取得価格 ÷ 法定耐用年数 で求めます。
「耐用年数」は、固定資産を購入した費用を、購入した年だけではなく、固定資産を使用する期間(年数)に配分する役目を持っています。これはOK。
問題は「期間」です。
「減価償却費」を算出する、耐用年数の「期間」。
この「期間」は「年数」ですが、「法定耐用年数」として、税法で決まっています。
平等に法人税を算出するために、法律で決まっています。
(国税庁の耐用年数表へのリンク)
例えば、機械加工の設備の法定耐用年数は「10年」。即時償却の場合は、なんと「1年」。
1000万円の設備を購入した場合の(毎年の)減価償却費は
毎年の減価償却費 100万円 = 1000万円 ÷ 10年
という具合です。
例えば、その場合の利益は
20万円 = 120万円 ー 100万円
11年目の減価償却費は「0円」です。
11年目の利益は、
120万円 = 120万円 ー 0万円
正体の正体
しかし、機械加工の設備を10年で買い替えますか?
そんな会社はありません。
事実、15年、20年、25年と使っています。
使えるのに買い替えません。当然。
設備保全を、しっかりやって、使い倒します。
儲けるために。
実際の減価償却費は、
毎年の減価償却費 50万円 = 1000万円 ÷ 20年
例えば、その場合の利益は、
70万円 = 120万円 ー 50万円
21年目の利益も、21年目に設備を買い替えますので、
70万円 = 120万円 ー 50万円
この実際の使用年数を「経済耐用年数」と言います。
何が悪いのか
ここまでで、利益が「3つ」出てきました。
「法定耐用年数」を使用した、損益計算書の利益は、
(1)1~10年目の利益は、20万円
(2)11年目以降の利益は、120万円
これでも十分、問題ですが、
「経済耐用年数」を使用した利益は、
(3)いつでも、70万円
どれが事実で、正しいと思いますか?
利益が20万円だと知ると、
ムダな改善、必要のない投資をします。また、社員はあんなに頑張っているのに、なぜ、利益がでないのか? とやる気が無くなります。
利益が120万円だと知ると、
特別ボーナス、ゆるい改善になります。また、社員は楽勝だと安心して、改革を考えなくなります。
問題は事実、真実が見えていないことです。
現状をちゃんと捉えずに、どこを改善、何に投資すれば良いのでしょうか。
病院では、ここが悪いからこの治療、どこが良くなったから退院と、今の症状をちゃんと診察してから治療します。
QCサークルやTPM活動、間接自工程完結では、「現状把握」から始めるのに、
経営では現状が見えていません。
いや、間違って見えていることが、大問題です。
これでは、儲かるはずがありません。
それでは、どうすれば良いのか? 答えは、
をご覧ください。
なぜ、正しくない決算書の「利益」を使うのか も、ご覧ください。
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